地域包括ケアシステムとは「地域ごとの医療・介護・予防・生活支援・住まいの継続的で包括的なネットワーク」のことです。「地域の持つ生活支援機能を高めるという意味において『21 世紀型のコミュニティの再生』である」 (社会保障制度改革国民会議,2013)とも言われていますが、在宅療養や在宅での看取りを選択した患者が医療から介護へと円滑に移行させ、地域でのその受け皿となることが期待されるシステムです。国はこのシステムの単位を、概ね30分圏内ですべてのサービスが提供される範囲とし、人口1万人程度の中学校区での実施を想定しています。しかし多くの自治体では、まだ具体的なシステムの構築にはいたっていません。民間の医療・介護施設では既に「地域包括ケアシステム」を見据えた取り組みを開始しているところもあります。
その中心的役割を担いつつあるのが訪問看護ステーションですが、事業所数が在宅療法の誘導施策下で近年増加傾向にあり、2013年4月の時点では6801箇所(全国訪問看護事業協会)となっています。2014年2月の診療報酬改訂では、質の高い在宅療法を意図した機能強化型訪問看護ステーションの計画が始動しています。
また国は在宅に対応する診療報酬を手厚くし、患者が24時間、医師や看護師に連絡できる「在宅療養支援診療所」を2006年に、「在宅療養支援病院」の登録制度を2008年に創設しました。厚生労働省保険局医療課によると2012年7月時点での前者の届け出数は13758件、後者は746件と増加しています。
参考資料
● 社会保障制度改革国民会議 「社会保障制度改革国民会議報告書 ~確かな社会保障を将来世代に伝えるための道筋~」 2013
⇒ http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kokuminkaigi/pdf/houkokusyo.pdf